夕焼け色に染まる頃
02
「高杉晋作ーただいま福岡から戻ったー。ついでに珍妙でばかそうでなんだか野垂れ死んじまいそうで見るからに怪しい、いや実際怪しい奴を引っ捕らえて来たから一つ部屋を開けろー」
なんって気ダルげな言い方なんだろう、けれどもそんなことよりも私はその言葉の内容にあんぐりと口を開けた。
私の前で仁王立ちになり門の向こうにある豪邸に喋りかけているようだ。
いや、実際にもそのようで門の奥からはドタバタと足音がする。
それも、少し耳を澄ませば
「あれ、高杉さん着くの早くないスか…?」
「おい、高杉さんが怪しい奴連れてきたって……部屋、鍵つきの頑丈な部屋を用意しろだとよ!」
「急げ、早くしろ……!」
なんて切羽詰まったような声がする。
一体何人居るんだろう、そんなに沢山の人をたった一言で操れるんだから、やっぱり高杉さんは歴史上に名を残す偉大な人なのかも知れない。
けれども、……けれども……!
「高、杉、さん……!どどどう言うことですか、鍵つきの頑丈な部屋って……私を監禁するつもりですか……!」
この際珍妙だとかそういう事は置いて置こう(本当はすごく気になるけれども)。