夕焼け色に染まる頃
顔を真っ赤にして必死に抵抗する私は、さぞかし相手には滑稽に見えたことだろう。
けらけらと笑う男は、それでも尚私を組み敷く力を抜いてくれない。
「馬鹿が!離してと言われて離す筈がない。……くく、」
するりと男の手が私の首にまとわりついた。
「……い、嫌……!触らないで!」
頭の向きを捻って離れようとするのに、まるで手は離れない。
ねっとりと、厭らしく私の肌を滑る。
「なんだ女、その動きは。誘っているねか、ん?」
「やだ!違う!離、……っ」
男はふ、と耳元に息を吹きかけてきた。
思わず息を止める。
「自分の女を汚されたと知ったら、高杉はどんな顔をしてくれるのやら……」
「……!」
耳元から唇を離す際に、さらりと男はそう言った。
背筋が凍る。
「……やだ………。やだ!やめて、お願い、やめて!」
「だから、そう必死になって抵抗しては逆効果だ」
そそられる。そう呟いた。
「やだよ!私、わた………っ、………っ」
舌を噛み切ろうか、と思った。
高杉さんに選んで貰った着物の裾が捲り上げられて、高杉さんが見立ててくれた簪がコロリと私の顔の横に転がっていて。
高杉さんにさらりと撫でて貰った長い髪は、パラパラと無造作にばらけていた。