夕焼け色に染まる頃
「―――………正義の味方、参上ってなァ」
その時だった。
求めていた人の声が静かに響き、私に馬乗りになっていた男の脇腹は思いっきり蹴飛ばされて、のし掛かかられていた体重から解放されたのは。
「何やってんだァ、てめぇ」
「たか す ぎ、さん、」
ばさりと、高杉さんの羽織が私に無造作に投げつけられた。
それを顔で受け止めた私は、何事かと一瞬もがく。
「ひ、あ、ぅああああっ」
その最中、あの襲ってきた男の悲鳴が聞こえてきた。
それから、ガサガサと木の葉のすれる音がして、やっと羽織から頭を出してその状況が目に飛び込んできた。
高杉さんが門番の男に刀を向けている。
簡単に説明してしまえば、そんなところだ。
けれども、そんな言葉ひとつでは表現しきれないほどの殺気が高杉さんの回りには充満していて、それは当然の如く門番の男に向けられていた。
とても、こわい。
ぎゅうと肩にかけた羽織の合わせを胸の前でまとめ、握りしめる。
なのに、今、私の心を満たしているのは、ただただ「高杉さんが助けにきてくれた」と言うことだけだった。
「答えろ、お前はこんなところで何をしていた?」
「ぇ、あ……、あぁ……」