夕焼け色に染まる頃
「ごめんね、朔ちゃん。ごめんね、ちょっと、怖いだけなの」
わかってる、わかってるよ。
仕方ないよね、わかってる、よ。
「ごめん。俺――……俺、正直、無理だわ」
そりゃあね、抱く度にこんな生々しい傷痕見てらんないよね。
大丈夫、わかってる。
大丈夫、大丈夫だから。
皆が私から離れて行くのは当たり前だって、前々から決められていたシナリオ、それ通りになっただけだってわかってるから。
ん、大丈夫、大丈夫。
痛くない。
痛くない、全然痛くないよ。
いつの間にか涙は引っ込んで、私はとぼとぼと学校からの帰り道を歩き出した。
もう、夕方か。
……もう?
いや、まだ、か。
早いなぁ、皆が離れて行くのは。
いつも必死になって、時間かけて作り上げていった関係でも、離れるのはいとも簡単で早い。
「あぁー、綺麗な夕焼け」
どうか私も呑み込んでよ、その綺麗なオレンジ色の光のなかにさ。
消えたいよ、もう。
長い道の途中、私は足を止めてじぃと夕日を見つめた。
って言うか、見とれてた。
ねぇ、疲れたよ?
「――――――……………ふざッけんなぁ!諦めんじゃねぇ、朔っ!!!」