夕焼け色に染まる頃
03
不意に、うすぼんやりとした風景が開いた。
身体が熱い。
背中が痛い。
「たかすぎ、さん」
視界にはとても苦しそうに歪んだ高杉さんの顔が、私の顔を覗き込んでいるのが映った。
私と目が合えば小さく目を見開いて、でもすぐにしかめたように眉を寄せてしまう。
ふと、辺りが陰ったような気がした――……のは、高杉さんが私の額に手を当てたからで。
そこから、一肌の温もりが広がり、それは共に私に安心を与えてくれた。
「たかすぎ、さ、ん、」
「あぁ」
「たかすぎ……さ、」
「わかった、わかったから。ちょっと黙っとけ」
私の熱を確かめていたのだろうか、そう言えば確かに体は熱を帯びている。
ため息を吐き出せば、高杉さんは私の前髪をかきあげるようにして頭を撫でてくれた。
私は大人しく黙って高杉さんを見る。
「良かった。目を開けてくれて、良かった」
少し声が震えているのがわかる。
「もう、二度と……あんな目にゃ遭わせねぇから、だから、どこにも行くな」
くしゃりと、撫でてくれていた手が髪を握った。
それがまた、心地良いもんだから私は目を細める。
すると、目尻から何かが零れて伝うのがわかった。
「こわかった」
「あぁ」