夕焼け色に染まる頃
「こ、こわくて、声、ぜんぜん出なくて」
「……あぁ、そうだな」
「でも、高杉さん、来てくれて、」
本当は高杉さんに抱きつきたい。
抱きついて、そしたらこの泣き顔は高杉さんに見えないのだから。
けれども傷ついた私の体は思うように動いてくれるはずもなく、ただ仰向けに寝たまま必死に訴える。
「なのに……、」
「あぁ、」
「なのになんで、」
高杉さんがそっと私の目尻から溢れる涙を掬った。
「あんな夢見たんだろ……っ」
嗚咽が出てきた。
咽に引っ掛かるようにしてそれは私が何か言葉を発しようとするのを拒み、ついには口を閉じる。
唇を噛むような形で無理矢理嗚咽を押し込もうとした。
「なに我慢してんだか」
そんな私を見て、高杉さんは小さくため息を吐いた。
一瞬、呆れられてしまったのかと息を止めてしまう。
けれども、高杉さんを見ればそうではないとわかって今度は胸が詰まるような思いがした。
「…っ……?」
「お前、ずっと苦しそうにうなされてたんだよ、寝てる間。その、お前の言う『あんな夢』を見ていたからなんだろうけどよ」
ぱちりと瞬きをした。涙が溢れる。
「一瞬な、それがなくなったんだよ。すげぇ安らかそうに息をするもんだから、もう、目が覚めねぇんじゃねーかと……どっか、いっちまうんじゃねぇかと、思った……っ」