夕焼け色に染まる頃
だめだ、高杉さんの前だとそれがバレちゃうのに。
少しの表情の変化で、私の考えていることなんてお見通しなのに。
「……朔」
あぁほら、高杉さんは私を安心させるようにと優しく笑った。
「なんてぇ顔してやがる」
「……いつも通りです」
「いーンや。俺の知る朔はもっと別嬪さんだぜ、こう、笑顔が可愛くてな」
「…………、」
せっかくひいた熱が、戻る。
「ほら、笑え。ンな顔してんなよ」
頭に乗せられる暖かな手に、安心する。
「大丈夫だから」
――――…………その言葉を言わなければならないのは私なのに。
もう、怪我は大丈夫だよって。
だから、そんな私の様子なんか見に来なくても休んでていいんだよって。
言うべきなのは私なのに、高杉さんに言わせてどうするんだ。
きっと、今回私がこんなことになって誰よりも責任を感じているのは高杉さんなのに。
私が不安そうな顔をして、……。
「高杉さん」
「ん」
「ありがとうございます。私も大丈夫です。大丈夫ですから、」
次の言葉を言おうとして、高杉さんの人差し指が唇に触れた。
つ、となぞられてしまったものだから続きを言うことなんて出来ずに。
「お前は沢山の事を考えすぎてしまうなあ」
なんて笑う高杉さんを見た。