夕焼け色に染まる頃
その頬がとても冷たく感じて、撫でてみれば濡れていた。
「……泣くな」
「命令、口調……」
「教えろ」
「命令、口、……」
「言え」
「命、令、………、」
「吐き出しちまえよ」
「…………っ、」
胸がつまる思いがした。
苦しい。
いつまで、こんな思いを溜め込まなくちゃいけないんだろう。
いつまで、私はこんなところで一人耐えなくちゃいけないんだろう。
苦しいよ。
でも、高杉さん。
私、今まで見たいに吐き出して、拒絶されてしまうのが怖い。
怖いの、高杉さん、……貴方に嫌われたくない。ただそれだけなの。
乱さないで、これ以上近づこうとしないで、私はこの距離で十分だから、むしろ贅沢だとさえ思えるくらい、貴方の近くにいられて幸せだから……!
「なぁ、朔」
「やめて……!」
障子一枚を挟む。
部屋の中と、外。
その空間は繋がっているのに、私は高杉さんが此方の空間に来る事を頑なに拒む。
「理由はわかんねえんだけどよー……」
けれども身軽な貴方は、いつだって―――…………
「お前の事が知りたい」
簡単にすり抜けて此方にくる。
「た……か、すぎ……さん……」
唇をへの字に曲げながら。
ボロボロと涙を流し、高杉さんを求めた。