夕焼け色に染まる頃
それから再び部屋に入ってきた高杉さんは、しっかりと障子を閉めて私の近くに来てくれた。
はだけた襟から覗く痣を右手でそっとなぞり、私を見据える。
涙を流す私には、高杉さんがどんな顔で私を見ているのかわからなかった。
いや、わからなくて良かったと思う。
ただ、なぞる右手にそっと自分の左手を添えて。
身の上を語りながら、やはり熱い涙が頬を伝うのを感じていた。
けれども、その涙と共にずっとずっと心の中で固まっていたものが解れて一緒に流されてくれているような気さえしてきて。
全てを話終えた時、私はすがるように高杉さんへと手を伸ばしていた。
――……後の事は、良く覚えていない。
ただ、高杉さんの「休め」っていう優しい声が聞こえてからは、温もりを感じていた。