夕焼け色に染まる頃
勿論、このスカートのせいで寒いっていうのもあるけれども。理由は他にも。
「なんでこんな着物を着てるんだ」
って聞かれたら
「未来からきたからです」、
「これが未来の着物です!」
なんて言えるはずがない。
「それみろ、言い返せないじゃねぇか」
はんっと鼻で笑いつつ、高杉さんは羽織をパサリと私にかけた。
「ったく、じゃねぇとこっちの目のやり場に困らぁ」
「……え?」
その羽織に袖を通しながら、ぱちくりと高杉さんに視線を向ける。
私よりも背の高い高杉さんが着ていたそれは、やはり私の体に対して大きめで制服がすっぽりと隠れる。
スカートとハイソックスの間、見えてしまう肌がうまく隠れて暖かい。
多分、直前まで高杉さんが着ていたこともあって暖められてたんだ。
「どういうことですか、それって……」
「んん!貧相な体露出されちゃあ気の毒で見てらんねえ、ってことだ」
そう言いながら、高杉さんは気まずそうに視線を反らす。
む、としてその様子をガン見してればにゅっと高杉さんの手が伸びてきた。
あ、また。私の方を見てないのに場所がわかるんだ。
その手は正確に私の頭に乗せられて、ポンポンと跳ねる。
それがくすぐったくて、変にこそばゆくて、私は目を細めた。