夕焼け色に染まる頃


じ、と私を見下ろして動かない高杉さん。

何事かと目をぱちくりとさせれば、盛大にため息を吐かれた。

それはもう、盛大に。


「……にっぶい。お前は本当に鈍い。ンだよそりゃあ、バカかよ」


「なんですって……」


「バーカバーカ」


「な………、」


しょ、小学生か!

ついつい心の中で突っ込みを入れてしまいつつ、私は不貞腐れて布団を被る。


「おーおー、元気なこって。それだけ元気ならちったあ動けるか、ん?」


近くで聞こえる高杉さんの声。

きっと私が被る布団に顔を寄せて話しているに違いない。


「………は、い」


けれどもまあ、ここに来てからというものの私は一度もこの部屋から出たことがなかった。

時々伊藤さん達が様子を見に来てくれたけれども、それでも他の隊士さんにはまだ会えていないし。


出来るものならば、顔くらい見せたかった。


「ん、よし。じゃあ行くか。丁度メシ食ってるとこだろ、広間にでもいきゃあ全員集まっているに違いねえ」


そう言うが早いか、被った布団ごと私を持ち上げる高杉さん。


「いた!?いたたた、ちょっ、いい痛いですよ、高杉さん!」


怪我を負っている背中が痛まない筈がない。



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