夕焼け色に染まる頃
じたばたと足を動かせば、ひょいっと米俵のように肩に担がれてしまう。
「うっせー、ちったぁ我慢しろ」
「ちょ、私怪我人です!」
「なぁに、こんなのはかすり傷だ」
「それは私が言う決め台詞です!って言うか、かすり傷な訳がないじゃないですか!私は一般人ですよ、刀持って切った張ったのやり取りなんてしたこと――……!」
「へいへい」
私が喚く内にも、高杉さんは襖を開けてスタスタと廊下を歩く。
そうして差ほどもしない内についた襖の前で、一度止まった。
「お前、覚えてるか?」
急に真剣な顔をして聞いてきた高杉さんを、私は喚くのをやめてじっと見る。
「なにをですか?」
「………いや、覚えてねぇんならいいんだよ。つか時間が経ってるしな」
そんなことを呟いて襖に手をかけた高杉さんは、パーン!と勢い良く襖を開いた。
「おうおう、野郎ども!我らが姫のお目覚めでぇ、頭が高ぁあい!」
………えっ。
「うわっ、高杉さんじゃないすかびっくりした!」
「朔さん目ぇ覚ましたんすか?」
「つか起きていいんですか、そんな米俵みたく担いで……」
ざわ、と隊士さん達の声が聞こえる。
「るせぇやい、姫さんがこっちきてぇっつったんだ。何、一人でメシ食うのもそろそろ飽きたんだろ」