夕焼け色に染まる頃
……高杉さんがほぼ無理矢理につれてきたような感じですけど。
まぁあながち間違っていないのだから、あえて口出しはしない。
布団ごと米俵のように抱えられている私は、高杉さんの上から皆さんの方を向く。
少しばかり傷が痛むけれど、でも、皆の顔が見たかった。
皆が無事であると知りたかった。
「……おかえりなさい、皆さん…!」
だから、皆の顔を見て自然と口をついて出てきた言葉はこれだった。
一瞬、シンとした空気が部屋の中に流れる。
あれ、なんか間違ったこと言ったかな。
チラリと高杉さんを見てみれば、高杉さんまでもが唖然として私を見上げる。
「朔、お前覚えてたのか……?」
小さく出た声に、私は首を傾げる。
と、そこで思い出した。
そうだ、私は。
高杉さんと約束した。
私ができること――……皆の帰る場所になること。
無事帰ってきた皆さんに、「おかえりなさい」と言うことを。
「……遅く、なりましたけど。それから、三つ指つくことも出来ませんが……」
すみません。
小さく言った言葉は、シンとした空気の中でも良く聞こえたことだろう。
「……十分だ、バカヤロウ。どれだけ待ったと思ってやがる」
高杉さんの笑った顔が、すごくすごく綺麗で大人っぽくて。
鼓動が大きく脈打つのを感じる。