夕焼け色に染まる頃
だから、見つめられるのが恥ずかしくて、つい顔を反らした。
「ただいま、無事に戻りまして御座います、姫!」
「あはは、姫の役はまってて格好良かったですよ、朔さん!」
「惚れ惚れしました!俺達は朔さんのあの凛とした姿に背中を押されたようなもんです!」
朝食の途中だと言うのに、自分のお膳を越えて私と高杉さんの周りに集まる隊士の人達。
どわっと賑やかになった広間の雰囲気が、なんだか懐かしかった。
「おうおう、嬉しいのもわかるがちと場所を開けろ。抱えたままなのもなかなかに辛ぇんだよ、朔を降してぇんだ」
そう言いながら大股でズンズンと広間を横断し、隅に行き着いた高杉さんは私を静かにゆっくりと降ろす。
ぺたんとお尻をついて座った私の肩に布団をふわりとかけてくれて。
ふと目線が合ったと思えば、
「――………おかえり」
不意討ちの攻撃に、私は顔が熱くなり赤く染まりゆくのを自覚する。
優しく笑った高杉さんの顔は、表情は、いとも簡単に私の心のなかに浸透してくる。
「ただいま、です」
だから、恥ずかしさで返事はとても短くなってしまったけれども。
ふ、と小さかった笑みを溢した高杉さんはドカッと私の隣に腰を降ろした。