夕焼け色に染まる頃
まさかそう言われるとは思わずして、驚いた私は少しだけ返事が遅れてしまう。
「はい、私がお答え出来るものであれば」
だと言うのに、返ってくる言葉はとても早かった。
まるで、ずっとずっとそれを聞かんとしていたかのように。
「お前の傷が見たい」
――……否、むしろそうだったのかもしれない。
そして、それを私は薄々感じてはいたのだ、きっと。
「嫌です」
出てきた返答は同様に早かった。
「何故だ」
「ひとつの大きなことを打ち明ける事が出来るほどに、高杉さんに気を許しているからです」
いつぞやのように、信頼した人が離れていってしまうのは嫌なのだ。
怖いのだ。
そうして、一旦静寂がくる。
ため息がひとつ聞こえた。
なんて弱い、脆い。
否、遠い。
結局一線引くのは私からなのだ。
そう思えば、今まで友達という友達がちゃんと話をすると同時に離れて行ってしまったのも頷ける。
心の奥深く、どこか諦め冷めきっていた私においそれと心を開く輩がどこにいようか。
高杉さんだって、きっと―――………そう、頭の中で思った時だった。