夕焼け色に染まる頃
07
「あーあ。ついに、ってぇ訳かよ。クソジジイめが」
とある日、高杉さんと縁側で並んでお団子を食べていた時だ。
怪我の調子はどうだとか、傷跡は残らねぇかとか、そんな話をしていれば。
奇兵隊の方が一人、高杉さん宛の手紙があると届けてくれたのだ。
それを受け取った高杉さんは、差出人の名前を見るや否や渋い顔をしたのが私でさえわかる。
ご苦労、なんて言って奇兵隊の方を返して、その手紙の内容に目線を走らせること数分――……読み終えたのか、空を見上げてため息混じりに発せられた言葉がこれだった。
「何方からですか?」
「あん?あぁ……親父」
「え、高杉さんの?」
「そ。廃嫡だとよ。まぁ無理もねぇなあ。寧ろおせぇくらいだ。タラタラしやがって」
高杉さんは肩を竦めて言うけれども、私にはどこか寂しげにも見えて。
食べ掛けのお団子を隣のお皿において、そっと手紙を持っている手に自分の手を重ねた。
「……寂しい?」
「そう見えるか?」
「はい」
は、と短く笑う。
自覚はなかったみたい。
「なら、そうなんだろうかなあ。けどよ、これでなんのしがらみも心配もなく動ける。気にかけることは少ない方が楽だ。違うか、朔?」
「そうですけど――……」
「何、おめぇさんが気にすることじゃねぇ」