夕焼け色に染まる頃
微笑ましいなあなんて高杉さんを見上げていれば、それに気付いてぐしゃっと頭を撫でてきて。
多分、年下の癖にそんな顔で俺を見てんじゃねぇよ、なんて意味が込められていたのだと思うけど。
思いの外長い髪の毛が乱れてしまって、私は腰を折るように姿勢を変えてその手から逃げる。
「やめっ……!?やだ高杉さん、髪の毛が乱れちゃったじゃないですか!」
「うし、いいモン買った」
「えっ、無視ですか!?」
唖然とする間に、高杉さんは既に歩き出していて。
置いてきぼりを食らった私は、後ろ手に手を振る高杉さんの後を追う。
「へいへい。次は朔の着物選び……いや、その前に簪だな」
「……?」
「お前、髪伸びただろ。新調せにゃなぁ……」
あ、同じことを考えたらしい。
少しだけ、それが嬉しくて笑ってしまう自分がいる。
まったく、単純に出来てしまったものだ。
「じゃあ高杉さん、私玉簪が良いです。赤くて、丸くて……」
「ぁあ良いんじゃねぇの、お前に良く似合いそうだ。着物もそれに合わせて柄を選ぶか。俺が金だすから、遠慮なく選べ」
「えっ?」
勿論、私はお金を持っている訳ではないからそうなるだろうとは薄々わかってはいたことだけれども。