夕焼け色に染まる頃
……驚いた、っていうのが第一感想。
それは、手を繋ぐという発想に至った沖田さんの考えについてもなんだけれども、一番は。
この人は、武士なのに———……それが、仮だったとしても、武士を目指し、武士を志し、命をも削るような人が、躊躇いなく庶民である私なんかと手を繋ごうとしてくれる。
なんて素敵な人だろうかと、ただただ感心と尊敬の心を抱いて、私は沖田さんの背中を見た。
「沖田さん、沖田さん」
「はい、なんでしょう。歩く速さは大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。あの、私あんみつが食べたいんです」
「かしこまりました。あんみつの美味しい甘味処を教えてあげますよ」
他愛ない談笑。
ここは本当に京の都なのか、そもそも本当に混沌とした幕末なのかと、本気で考えてしまった—————……否、これが現実逃避だ。
こんなことを思うとふと恋しくなるんだ、現代が。
結局私は、元の世界に戻りたいのか高杉さんの元にこのままずっといたいのかわかりやしない。