夕焼け色に染まる頃
さてこれでスムーズに(沖田さんのスマートなリードのお陰様で)注文まで終えたわけだ。
後は沖田さんの答えを聞くのみである、その答えにこそ私が沖田さんと高杉さんを重ね合わせてしまった理由があるのではないかと、少しだけ期待して待った。
「まぁ、つまり。朔さんは、新撰組のような人斬り集団の一員が何故街娘と仲睦まじくこんなところに、ということを聞きたいのだと思いますが」
物は言いよう、とはよく言ったものである。
確かに沖田さんの言っている通りの事を私は聞いた訳で、言葉をそう変えてしまうとなんて最低なことを聞いてしまったんだろうかと一瞬後悔。
それでも、そんなものは沖田さんの回答を聞いたら消し飛んだ。
「つまり、僕も結局は人間だということですよ。新撰組の隊士だって皆人間で、本当は人なんて殺したくない訳で……。それでも、己の志を貫くためにはやらなくちゃいけない時だってある」
「志?」
「そう、志です。僕ら新撰組は、ただ……武士になりたい。それだけです」
「この、日本という国がどうなったとしても?」
「極端に言えば、そうかもしれません。とはいえ、この日本がなくなってしまっては武士も何も無くなってしまうのでそれは困りますが。そう、極端に言えばそういうことなんでしょうね。武士になるためならば、どんな事も厭わない」