夕焼け色に染まる頃


その言葉を聞いて、フラッシュバックする。

咳き込み、血を吐き、蹲る高杉さん。

私を庇い、刀を抜き、斬る高杉さん。

私を信じ、志を吐き、語る高杉さん。

—————………似てるんじゃない、同じなんだ。

同じで、そして全くもって反対で。

沖田さんは自分のために、高杉さんは他人のために。

沖田さんは他の物を、高杉さんは自分自身を、蔑ろにしてしまう。

幕末という、この混沌とした時代は、こんな両極端にしか人は考えというものを持てないのだろうか、そして志とは、そんなにも大切なものなのだろうか。

そんなもの持たなければ、もっと、もっと………!


「……………、そう、ですか。ありがとうございます、沖田さん。なんだか、すごく難しくて凄いお話を聞いたような気がします!」


話してくれた内容を、まるで馬鹿な子が理解しきれなかった時に返すような言葉を連ねて私自身の考えを隠そうとする。

それの、なんて汚いことか。

私なんて、こんなに汚れて汚い。


「いえ、少し難しい事を言ってしまったかもしれません。あれで回答になっていたかどうかは甚だ不安ではありますが………あ、あんみつが来ましたよ!」
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