夕焼け色に染まる頃
いつの間にか置かれていたお冷二つ、それに加えてあんみつはたった今机の上に置かれた。
色とりどりで、その盛り付けも最早芸術と言っても過言ではない。
とても甘そうで、美味しそうで、頭をフル回転したばかりである私には丁度いいと、パチン!と手を合わせた。
「美味しそうです!いただきまーす!」
わざと明るめな声を出してしまうのは許して欲しい。
それにつられて沖田さんもニコニコとして、一緒にあんみつを食べてくれるのだから、これくらいは。
—————………高杉さんの事を思って、泣きそうになる自分を抑えるために笑顔を使う、これくらいのことは。
許して、欲しい。
その時の私の顔はもしかしたら歪んでしまっていたのかもしれない。
おかしいな、わざと明るめな声を出して、ばれてしまわないようにしたはずなのに。
目の前に座る沖田さんが、わざわざ言葉ではなにも言わずにただゆっくりと首を傾げ、私の顔を覗き込んだ。
「どうかされましたか……?何やら考えているご様子で」
「……沖田さん」
名前を読んだことに意味はあまりない。
ただ、この場を取り繕うのにどうしたものかと出た言葉、セリフが沖田さんの名前をだった。