夕焼け色に染まる頃
けれども確かに私の声は元気とは言えるものではなくて、寧ろ悲しげでさえあると客観的に思った。
「……すいません、暖かいお茶でも」
沖田さんがそっと手をあげて、店員さんにお茶を頼む。
きっと、私が今だあんみつに手をつけないことを見越して、だ。
「……ごめんなさい、ありがとうございます」
「いいえ。僕もなんだか難しい話をしてしまったかもしれません……本来ならば、初対面の方にベラベラとお話しするようなことではないとも思うんですが」
ぽり、と沖田さんは照れ臭そうに頬を掻く。
「聞いたのは私です、沖田さん。それに、答えてくださったことは嬉しいですし……何より、この京を守ってくださっている新撰組、それも一番隊隊長さんの心のうちを聞けるなんて、とても参考にもなるんです」
自分が、これから生きて行く上でどんなにふうに考えて、悩んで生きて行くか。
これ以上に参考になることなんてなるだろうか—————……そう思う心に嘘偽りなどなく、またこの京にいるものとして何らほ問題がない、はずだ。
「志、とは……」
この人達、武士にとってなくてはならないものなんだと思う。
いや、きっと私はそれをわかっていて知らないふりをしていたんだ。