夕焼け色に染まる頃


どうしても、志のために身を粉にして動いてしまう高杉さんに何も言うことができない、役に立つこともできない自分が悔しくて悲しくて、最早それから目を逸らしてしまう。


それは高杉さんの近くにいるに値する人間なのだろうか—————……そんなこと、あるはずがない。


「志とは。…………僕らの、存在意義ですよ」


言葉を途中で止めてしまった私に変わって、小さく、囁くような声でそんなことを言った沖田さんの、どこか悲しげな表情が忘れられない。

それからうまく言葉をかけることさえもできずに、ただ薄く口を開いて沖田さんの様子を伺う。

本当に、それだけしかできない時間だった。

刹那。

私のよく知った手が、ポンと頭の上に置かれた。


優しくて、暖かい。

大きくて、包み込んでくれる手。

驚いて、これまた声が出なくて、目を見開いた。


「よお、ウチの朔が世話になったようじゃぁねぇかい?」


どこか余裕があって、含み笑いでもしていそうな声色はまぎれもない高杉さんのものだった。

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