夕焼け色に染まる頃
どうしてここに?会談は?それより、なんで私がここにいるってわかったの?
聞きたいことも疑問も沢山あったけれども、何よりも今私の目の前には沖田さんがいて、後ろには高杉さんがいて、……この状況。
単純に考えて沖田さんは高杉さんを捕まえなくてはならなくて、高杉さんは沖田さんから逃げなくてはならない関係にある。
まずい、と思った。
沖田さんに目を向けてみれば当然のごとくその瞳は高杉さんに向けられていて、一瞬息を飲んでいることさえ分かるほどに動作がゆっくりとして。
その間に、何が起きたのか、あるいは目の前にいる人物が何者であるかを冷静に判断してるかのようにさえ見える。
しかしてそんなゆっくりと認識しているわけでもなければ、刹那のような時間だったんだと思う—————……すぐさま鋭い目付きに変われば、ス、と辺りの気温が1、2度下がったように感じた。
「これはこれは。朔さんのお連れ様でしょうか?」
「ああまあ、そうだな。すまねえ、朔が世話になったみてえだ。お代はいくらだ?」
けれども、そんな沖田さんの上を行って冷静そうな高杉さんには、もはや余裕さえあるように見える。
その余裕がどこから湧いているのかはわからない。