夕焼け色に染まる頃
ふわりと、脱いだ羽織を侍に投げる。
それを反射的に受け取った侍は、唖然としているようだった。
それは、本当に脱ぎ始めた私に驚いているのか。
もしくは、見たこともないだろう私の着ている制服に驚いてか、真意はわからないけれども良い気味だ。
「お前、ちょっ……!やめ、やめろ!」
「なに言ってんですか!信じてくれないのは貴方でしょう、脱いで信じてくれるんだったら脱ぎますよ!」
顔を青くした侍は、思わず受け取っていた高杉さんの羽織を私に掛けようとする。
けれども、怒りが頂点にたっしていた私はそれを拒んだ。
「私は、言ったことは絶対絶対絶対絶対守りますから!嘘なんて、つかないから!」
襟元のリボンをほどいて、侍に投げつけながら喚く私。
我ながら子供っぽいのはわかっているけれども、押さえられなかった。
「わかったから、わかったから……!信じてやるから襟元直せ!あとでっかい声出すな、高杉さんが……」
「うるさぁああい!武士たるもの前言撤回するなぁああ!」
ぐいっ!
羽織を前に押し付けられたまま、ボタンを外したワイシャツの前を開ければ―――……