夕焼け色に染まる頃
「で、俺の羽織は何処に消えた、ん?」
えがお。
とっても(黒い)笑顔で、高杉さんは私に問うた。
それを至近距離でダイレクトに受けながら、やっとの事で地面に落ちている羽織を指差した。
ちなみに羽織を持っていた筈の侍は高杉さんの草履飛ばしで夢の中、地に這いつくばって泡を吹いている。
ざまぁみろ、と言うか高杉さんの草履飛ばし恐るべし……。
「まぁったくおかしい話だぜ、俺はお前の肩にしっかりと掛けてやった筈なんだがなぁ……」
あ、あ、怖い。
私が指差した方向も見ずに、黒い笑顔のままで首を傾げる。
そして高杉さんは、私の胸元を指差した。
「俺を誘ってる?それともアイツが脱がそうとした?…………もしかしてお前から脱いだ?」
ふるふると、最初の二つには首を振る。
それは、高杉さんの頭を押さえる手が否定の為に振れる程度には優しくなっていたからだ。
けれども、3つめの時にその手はこれでもかってほどぎゅぅううっとなった。
「ぅぐぅうう……!」
こんな強い力に抵抗して首を横に振れるほど私は首の筋肉なんてありません。
てかそもそも、脱いだのは自分からですハイ……。