夕焼け色に染まる頃


その間の時間はとても不安で、一秒一秒がとても長く感じる。

考え込むように伏し目がちになった高杉さんの視線の先、そこは私の足だった。
いや、正確にはローファー。

そうか、この時代ではこんな靴珍しいか。

その時、高杉さんの手が伸びてトンっとローファーを指先で小突いた。


「珍しい靴だな」


そして、制服のスカート、腰に巻かれたブレザー、ワイシャツの順に触っていく。

触るといっても厭らしいものではないと言うことはわかった。

何故なら、そのひとつひとつが生地を確認するような触り方だったからだ。

全てを確認した後、短くため息をついた高杉さんは私を見る。


「珍しい、と言うより、珍妙なんだよ。この時代、こんなに西洋っぽい物ばっか身につけてんのは」


そこで私ははっとした。
高杉さんが私に「羽織を脱ぐな」と言った理由、それに反して羽織を脱いだ後の侍の反応。

それは、私のこの格好が原因だったんだ。


「そりゃあ、怪しく映るだろうが。なぁ、小五郎?」


「そうだねぇ……うん、晋作には面白い物に映ったんだろうけども、さ。多分そこらへんにいる侍やら武士やらには怪しく映っただろうさ」


高杉さんが声をかけたのは私の後ろに立つ侍。


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