夕焼け色に染まる頃
01
なんて綺麗なんだろう…。
ふいに、そう思った私は足を止めた。
学校からの帰り道、辺りは夕焼け色に染まっていて、見回せば幾つかの木が真っ黒になって生えている。
夕焼けをバックに見ているからこうなったんだろう、けれどもその光景があまりにも幻想的で、ついつい足を止めて見いってしまったんだ。
「綺麗……」
そう呟き、眩しさゆえに目を細める。
「そうか?」
「はい。とても、とても綺麗です。こんな世界でも、まだまだ……って?」
「は?」
いきなり現れた人影に驚いて一歩後ずさる。
え、え、誰この人?
さっき辺りを見回した時は居なかったと思うんだけど、いつの間にこんな近くにいたのかな。
ってか、人の独り言にさも当たり前のように答えないでよ……!
「だ、誰ですか貴方」
キッと相手を睨み付けて、問う。
勿論、その間にもジリジリと後ずさりをしつつ。
けれども、相手はいとも簡単にその差を詰めて顔を近づけ、さも不思議そうに首を傾げた。
「知らん、だと?ここにいながら、この俺様をか?」
「し、知りませんよ!知るわけありません!だって私と貴方は会ったことなんて…」
「高杉晋作だ!」
……………は?