夕焼け色に染まる頃
だってなんだか、気になって。
もし桂さんとそのもう一方に座る侍の名前が一緒だとしたら、高杉さんは面白い一言を言っちゃうんじゃないかな……なんて。
「おい、小五郎。小五郎がいるのをお前知っていただろう、だった……ら……」
やっぱり……!!
やっぱりやっぱりやっぱり!
途中で言葉を止めてしまった高杉さんを前に、私はつい吹き出した。
「………何だと……!?」
いかにも深刻そうな顔で顎に手を当てる高杉さんの目は何故か畳を見ていた。
「ちょっと待ってろ女。お前の話を聞くのはちょっと後回しだ、深刻な問題が出来た」
ぽん、と膝に掌を当てて視線をあげた高杉さんは無駄にシリアスな顔をしていたとか。
ぱちくり、私は高杉さんの言うことが良くわからなくて首を傾げる。
「おい、小五郎(桂)と小五郎。俺はお前らを何と呼びわければいい……!」
「………は?」
「……えぇ、高杉さんそりゃないでしょ……」
心底、なに言ってんだコイツ的な目をして短く聞き返したのが桂さん。
そして、ボソッと呟くようにツッコミを入れたのが小五郎さん(仮)だ。
まぁ、どっちも妥当な反応だと思います。
高杉さんって、もっと暴君で厳つくて怖いイメージだったのに、なんだか……。