夕焼け色に染まる頃


「ただし、条件がある。いいか?良く聞いておけ」


そう言えば、高杉さんは五つの指を私に見せた。

つまり、条件は五つあると言うことなんだろう。


「ひとつ。名を名乗れ」


「はい」


これは、当たり前の事。
第一、門の前での一件ですでに桂さんには私の名前が知れている。


「ふたつ。出身を言え」


……む、ここは少し難関かもしれない。

私の出身は東京、つまりこの時代では江戸ということになる。
けれども、東京という未来の都市名を出して良いのかどうかだなんて私にはわからない。


「みっつ。何故、あそこにいたのかを言え。よっつ、何故俺の事を知っているのかを言え」


あぁ、どちらも難しい条件だなぁ。
けれども、これで私は最初に高杉さんに何を言わなくちゃいけないのかが決まった。

そして、次に言うことも。


「いつつ。……嘘をつくんじゃねぇ」


ぐ、と高杉さんが私を見る目が強くなった気がする。

つきません。
絶対、嘘なんてつきません。


「わかりました。では、話させていただきます……が、その前に私からもひとつだけ」


高杉さんが首を傾げた。


「なんだ?」


心臓がバクバクなる。
あぁ、どうか神様!
私の前に座る三人を順々に見て。

祈るような気持ちで、私は口を開いた。


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