夕焼け色に染まる頃
「高杉さ…、…それって」
「ぁん?」
信じて、くれるのかな。
期待を込めて高杉さんをみれば、高杉さんは口角をつぅいと上げて妖艶に微笑んだ。
「信じるに決まっているさ――……んな面白れぇ話、まさに俺が望んでいた話だ。さ、」
おいで、と私を呼ぶように差し出される高杉さんの手。
それに導かれるようにして、私は高杉さんのもとへと向かう。
……いいのかな。
高杉さんが私を信じてくれるなら、私も高杉さんを信じて全部話さなくちゃならない。
けれども、高杉さんか私を信じてくれるって言葉さえ、嘘かもしれない訳で。
高杉さんの手をとる前で、私の手はピタリと止まった。
高杉さんはまるでそうなることを予想していたかのように微動だにせず、手を動かさない。
さぁ、お前はどうするんだと問うようなまっすぐな眼差しを私に向けてくるだけだ。
対して私は動く事も出来ず、悩む。
「朔ちゃん」
ふと、穏やかな桂さんの声が聞こえた。
「晋作は確かに頼れる人物な筈だよ。器も大きい――……もし、君の言うことが本当で、右も左もわからない今に来てしまったのだと言うのなら是非。晋作に全てを話して頼ってみたらどうだい」