夕焼け色に染まる頃
そして桂さんは、やさしく私に微笑みかけた。
「わかるかい?その、いま君の肩にもたれ掛かってあまつさえ眠りこけてしまおうとしている頭は、君を信じた。その頭を、僕達は信じている。つまり、」
「頭が信じる君を信じる、ってな訳さ」
桂さんの言葉を受けて、石川さんがまとめてくれた。
その言葉はスッと私の中に入ってきて溶ける。
"信じる"と言うことが何より嬉しい。
そして、高杉さんがどれだけこの人達に信頼されているのかわかった。
「………高杉さん……」
「んー……」
「高杉さん、」
ぎゅぅと握っていた手を離して、そっと高杉さんの着物に添えた。
あぁ、頬を伝う涙が暖かい。
高杉さんの着物に落ちて染みてしまわなければいいけれども。
「ありがとうございます……」
「おう」
「……ありがとう、ございます………!」
身寄りもない、危険で不安な世界。
ただ一つの光になってくれて。
不安で、恐怖で、まだ体が震えている。
今日だけで何回涙を流しただろう、何回心の中で叫び声を上げたことだろう。
「お前みたいに、……必死な奴、嫌いじゃねぇし……なぁ……」
そう、囁く高杉さんの声がとてもとても近く感じた。