夕焼け色に染まる頃
思わず固まった私を、相手は面白そうに覗き込む。
その顔はニヤニヤしていて、まるで「すごいだろ、驚いただろ!?」とでも言いたげに口の端がつり上がっている。
「高杉晋作って……、貴方が?」
「あぁ、俺がだ」
ふーん、なるほど。
確かにその名前はすごいと思う。
"名前"は。
「有名人と同じ名前だなんてすごいですね高杉晋作さん。けれどもそれが私が貴方を知っている理由にはならないと思うんですよねー」
わざとらしくツーンと横を向いて、抑揚のない声で言ってやった。
しめしめ、高杉の奴ぽかーんとして間抜け顔になってるぞ……!
「で、結局貴方誰なんですか」
そして振り出しの質問を投げ掛ければ、高杉の顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
「だから……っ!……ちくしょ、俺もまだまだってぇことかい…」
しかしそれもつかの間、意気消沈したようにため息を着いた高杉は腕を組む。
そうして私に向けられた視線は、なんとも真剣なもので私はつい息を飲んだ。
貫かれるような鋭い視線。
こんな怖い眼差し、始めて見た。
「んで、お前は誰だ。何故ここにいる?」