夕焼け色に染まる頃


……正式に言えば、閉じられた、だろうか。

唇に人差し指が当てられて、
「しぃっ」
と高杉さんが声を出すのを戒めるように息を吐く。

そして続くのは、ドタバタと騒がしい足音だった。

音源は、廊下から。
障子には数人の人影が映っていて、
「高杉さんはどこだ!」
って焦った声も聞こえる。

しかも、その中には……


「晋作を見つけしだい、縄で縛ってでもここへつれてきてしまいなさいっ!」


なんて言う……か、桂さんの声も……!?


「へいっ!桂さん、俺も高杉さんを見つけしだい縄で……」


「ぐるぐるに、それはもうぐるぐるに逃げられないように縛って、引きずってでもつれてきてどうぞ」


「うしっ!」


…って、桂さんに話しかけたのはきっと石川さんだろうな、声的に。

目の前にいる、探されてる本人の高杉さんの顔色を伺って見れば苦笑を漏らしている。

そりゃそうだよね、……縄で、だなんて。

私の視線に気付いた高杉さんはポリポリと頭を掻いた。


「あー…。あのな……」


なにやら気まずそうな、っと言うより言いにくそうな感じで視線を横に流して。

意味がわからない私は首を傾げた。


「逃げてるんですか、高杉さん」


「……ま、まぁ……」


「なんで?」


う、っと小さく高杉さんが呻くような声を漏らした。


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