夕焼け色に染まる頃
つい、私は背筋を伸ばしてじっと見つめた。
その間にも、トントンと足音はこちらに近付いてくる。
誰だろう、とても規則正しく歩いて来る人なんだなぁなんて頭の片隅で思った。
「小五郎の作る飯はな、」
え、飯?
ご飯の話、しかも……桂さんの?
トン、トン、トンあぁ、足音が近い近い。
「すっごく、すっっっごく―――……」
え!
そこで言葉を溜めないでよ、気になる……!
トン、ト……
トントントントントントン!!
って足音いきなり速くなったぁ!
「不味い!!」
「えぇっ!?」
バシィッ
「晋作っ!」
高杉さんが放った衝撃の言葉。
そして、誰かが襖を開けた音と私が驚いた声が重なり、その一秒後には……桂さんの声が。
「かつ、ら、さん……?」
「……やっ……べー……」
襖につぅーっと視線を移せば、仁王立ちの桂さんがいた。
高杉さんはそちらに目もやらず、むしろ反対を向いて小声を漏らす。
「何をしているんだい、晋、作…?朝食に来ないと思っていれば、女子の部屋になど……」
「え、あ、桂さ、私は別に……」
「朔ちゃんは黙ってもらえるかな」
「は、ハイ……」
か、桂さんが怖い…。
大人しく口を閉じて、そっと高杉さんを伺って見れば。
「あー?……あー……ハイハイ…」
なんて生返事をしている。