夕焼け色に染まる頃
「晋作!聞いているのかい、君は武士としてだね、」
「あー待て待て待てっ!」
「……何かな」
じとぉっ、と高杉さんを見る桂さんは腰に手を当てて仁王立ち。
言ってる内容からして、なんとなく高杉さんのお母さんみたいだななんて思った。
本人に言ったら大変な事になりそうだけれどもね。
一方、そんな桂さんを見ても姿勢を一向に変えない高杉さんはある意味すごいと思う。
だって、桂さんの剣幕はすごくて怖いもの。
……って。こんな呑気に解説してる場合じゃなかった。
それに、さっき言ってた高杉さんの言葉の内容も気になるし。
私は布団をばさっと一気に畳むと隅っこに重ねた。
うん、我ながら高速かつ綺麗に、完璧な出来だ。
それをちらりと見たかと思うと、高杉さんは桂さんに問いかけた。
「お前、何故俺を探しにきたっ!?そこがまず聞きてぇってのによぉ、さっきからお前の話はずれまくりだ!」
すっくと立ち上がったと思えば、ツカツカと一直線に桂さんの真ん前へと歩きよる。
そして、びしぃっと桂さんを指差せば人差し指は上手く鼻の頭にちょこんと乗った。
な、何これ、一触即発……!?
桂さんと高杉さんの間にバチバチと火花が見えそうな、そんな雰囲気。