夕焼け色に染まる頃
06
あれから数時間後、私は城下町の小道を高杉さんと歩いていた。
勿論、あそこから出るにはあの長い階段を降りなくちゃいけなくて、苦労したけれども。
昨日はスタスタと歩いて行っちゃった高杉さんだけれども、今日はなんだか優しかった。
私が足を滑らせないようにって手を貸してくれたし、なにより高杉さんから見れば私の歩む速さなんてちんたらちんたらしているようにしか見えない筈なのになにも文句を言って来なかった。
何故かと思って、階段を下りきれた後にじぃと凝視すればまさかの凝視返し。
見つめるような形になっちゃってドキドキしたのは内緒。
「なんか、高杉さん今日は優しいです。……何かあったんですか?」
「おいコラ。そりゃぁどういう意味だ、俺は常に優しい。ちなみにな、何かあったってアリアリだろうが」
そして高杉さんがピッと指差す先は私。
思わず首を傾げればビシィッとおでこをデコピンされた。
「いたぁっ!」
驚きに叫べば、はんっと鼻で笑って高杉さんは先を歩いていってしまう。
「……ま、未来はそんな鍛えるまでもなく平和、ってぇことなんだろう?」
けれども、静かな口調でそう言ったのだけは聞き取れて。
私は、それに答えようか答えまいか迷って――……