夕焼け色に染まる頃
07
「たーかーすーぎー、さんーんー」
「んだよ、だらしねぇなぁ」
「だってぇええ………。あと、どれくらいあるんですかぁ……」
ぜぇ、はぁ。
荒い息を繰り返しながら、私は前を行く高杉さんに問うた。
「あと少しだ。この坂を昇ってすぐ――……あぁ、もう。ったく、しょうがねぇ奴」
「え、あ」
高杉さんに手を引かれて。
私はよたっと、丘の上に着くことができた。
「―――……、ここ、……」
そして思わず絶句。
何故ならそこは、高杉さんと私が出会ったところだったからだ。
なぜわかったのかって?……それはもちろん、"全く一緒"だったからだ。
時刻はもう夕方。
城下町の反対側に沈みかけている夕日が見えて、私は目を細める。
そうだ、あの夕日に見とれて私は、こちらに来たんだ。
ううん、もしかしたら見とれた時はすでにこっちに来てたのかもしれない。
「わかるか。……お前が、突っ立ってたとこれだよ」
「突っ立ってたんじゃなくて、夕日に見とれてたんですよ……」
ふ、と高杉さんが笑った。
「あぁ、確かにお前、そう言ってたな。俺にはそんな、綺麗にゃあ見えねぇけどなぁ」
そう言って腕を組む高杉さん。
静かに、静かにため息をついていた。