夕焼け色に染まる頃
それは何故か。
よくよく考えて見れば簡単だ。
私は、私がもといた場所「未来」が好きじゃない。
むしろ嫌いなんだろうか。
戻ったところで待ってくれている人なんていない、帰ったところで迎えてくれる人なんていないんだから。
ひとつ、大きく深呼吸をした。
ほら、ここなら息をつまらせないで吸える。
景色がとても、綺麗なのに。
「―――……"こんな世界"、だからか?」
「……え……?」
ふとこぼした高杉さんの言葉。
それは私の意図を汲んでいて、まさにその言葉通りで。
驚いた私は、目を見開いた。
「お前と初めて会った時そう言っていた。無意識だろうな、でも確かにそう言った」
そして一瞬、悲しげな顔をして。
「――……未来より、過去であるこっちのがいい世界か?未来とは、帰りたくなくなるほど居心地の悪ぃ世界なのか」
「……高杉、さん」
「嫌がるお前に帰れ、なんて言わねえよ。俺はわからんからなぁ、だが……」
なにがわからないんだろう。
今の私には、高杉さんの悲しげな表情の意味を図りかねていてわからない。
「俺たちの作ろうとする未来は、そんなもんなのか……」
「……っ」
息は詰まらなかった。
ただ詰まったのは、胸?心臓?
きゅうと閉まって、こっちまで切なくなる。