夕焼け色に染まる頃
「朔ちゃん!」
「へ?」
そんな時だった。
バン!と勢い良く襖を開けた桂さん。
ぱちくりとそちらを見れば、なおさらぱちくりと目を見開いた。
「え、桂さん、なんでそんな格好……!?」
「説明は後だ。取り敢えず、君は僕とくるか晋作について行くかを決めなくちゃいけない……さ、こちらに」
焦った様子の桂さんに手を引かれ、私は廊下を歩きだす。
前を歩く桂さんの後ろ姿……私は少しその光景に違和感を覚えていた。
いや、少しじゃない。
とにかく、あのとき庭を掃除しながら修行僧さん達が言っていた事は本当だったんだなぁなんて考えていた。
「いきなりでごめんね。言おうか言わまいか、とても悩んでいたんだけれども――……やっぱり、君にとってとても大切な事なんだ」
「いいえ、大丈夫ですよ……ありがとうございます」
話しながらも歩く桂さん。
どうやらその足は大広間に向かっているようだ。
いつも高杉さん達が会議をしている所。
なんで私がそんな所に呼ばれるんだろう、って少し不安になる。
「……よ、朔」
けれども、広間に入ればいつも通りの高杉さんがいて。
ほ、と自分の中で安心できるのがわかった。
「あの、高杉さん。私はなんでここに呼ばれたんですか?」