夕焼け色に染まる頃
ついに黙りこくってしまった桂さん。
ぎゅうと膝辺りの着物をにぎって、何かに耐えるように肩を震わしている。
あ、あ、そんなに強く握ったらせっかく綺麗な着物に後がついちゃう……なんて思いつつ。
今こうして桂さんの機嫌が悪くなっちゃったのは私のせいじゃないんだから、と心の中で弁解しておく。
だって、高杉さんなんてもう堪える気が微塵も感じられないくらいに爆笑している。
……とは言え、どうやら桂さんが気にくわないのは石川さんのほうのようだ。
石川さんはどうにかこうにか笑いを堪えようとしているらしいんだけれども……。
「ふっ、……ぶふっ……っ、迫力美人て……っ」
これじゃあ確かに、怒られたってしょうがないって。
なのに耐える桂さんはすごいと思う。
「ごほん。……朔ちゃん」
「はい、桂さん」
そんな騒がしい中、私と桂さんは向かい合わせに佇まいを直した。
「今から朔ちゃんに聞いてもらわなくちゃならない事がある。きっと、その過程で朔ちゃんの疑問は晴れるだろう――……と言うか、晴れてくれる事を祈る」
「はい」
「だから、聞いてくれるね?」
さっきまでの堪えたような雰囲気は納まって、むしろ真剣すぎる程にまっすぐな目線。