夕焼け色に染まる頃


それを受けて、私はゆっくりと首を縦に振った。


「……はい、勿論です」


「良かった。あぁでも、あまり緊張しないでおくれ……と言っても、緊張するような面々ではないかな?」


なんて、小さく桂さんが笑った。

確かに、周りでは未だに爆笑していたり笑いを堪えていたり……。

でも、この大広間でこの面々、やっぱり緊張するよなぁ、なんて苦笑いをする。

………まさにその時だった。

パシンと襖の開く音。

反射的にそちらを向けば、私は息を呑んだ。


「おぉ、伊藤か。割と遅ぇお付きだったじゃあねぇか――……なにかあったのかい?」


「いいや、特に。ただ、案外道程が険しくて困ったくらいかね」


「そりゃご苦労様なこって」


高杉さんとそんな話をしながらハハッと爽快に笑って、部屋の中に入ってくる人。

近くにあった座布団を手繰り寄せて、その上に胡座をかけば一息ついて――……そんな何気ない仕草から目が話せない。


「ぅん?……高杉君、この娘さんは?」


「ああ、そいつなぁな――……」


私を紹介する高杉さんの声が、なんとなぁく、なんとなぁくだけれども聞こえた。

けれども私にはそんなのちっとも気にする事が出来ない。なにより気になるのは、だ。


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