夕焼け色に染まる頃
今目の前にいて、高杉さんと親しそうに話していた人物が
――……そう、それは教科書でも見たことがある……――
かの有名な、伊藤博文だった、って事だ。
「なんと!未来から来た娘さんと……」
「おぅ。面白ぇだろ?」
「い、いやぁ……だが、そんな話突拍子も無さすぎて……信憑性はあるのかね、高杉君?」
「ありありだな。この女、初めて会った時の格好がこれまた珍妙で――……」
楽しそうに話す高杉さん。
対する私は、時が止まったように固まって――……。
「ほぉ!娘さん、貴女は朔君と言うのかね」
「……!は、はい……!」
伊藤さんに声を掛けられてやっと、私は現実の世界に引きもどされた。
「未来から来たんだって?……なんて、なんか当たり前のような言い方をしてしまったな。ふむ……、時を渡ってきてしまったとか」
「あ、と……はい、そうらしいです」
吃りつつも答える私。
あぁもう、相手が相手だけに緊張しちゃう……!
高杉さんたら、なんでこんなにも有名な方ばかりと知り合いなの!
……まぁ、高杉さん事態がとても有名人ではあるけれども……!
「きっと何かと大変であろう?高杉君はとても懐が広い。……いや、深いと言った方が得策だろうか」