夕焼け色に染まる頃
そこで私はひとつ深呼吸をして間をおいた。
「高杉さんは、クーデターを起こそうとしているんじゃありませんか?長州藩内で、高杉さんの意見にいちいち口だしてくる輩はなくさなくてはならない。そして、そのひとつであった正義派は消えた。だからこそ今――……」
ぐるりと部屋の中にいる面々を見回した。誰も長州藩出身の人たちばかり。
本当は京にまで出れていたというのに、八月十八日の政変のせいでこっちに追放されてしまったんだ。
こんな時、私の知る高杉さんはきっと。
「今、見せつけなくてはならないのでしょう?……高杉さんの、強さを。そして長州を」
「待て」
"ひとつにしなくてはならない"。
そう言おうとしたところで、高杉さんからストップが入った。
「……もしかして、間違ってましたか……?」
だとしたら、とても恥ずかしいのだけども。
あんなに一人で語っておいて、それも、有名な政治家となる方達の前でだ。
「いや、違う。むしろ当たり過ぎててキモい」
「ひ、ひど……」
「誉め言葉として受けとっとけや。んでな。ひとつ、わかんねぇ事がある」
ひとまず当たっているんだと聞いて一安心。
けれども、続く言葉に私は首を傾げた。