夕焼け色に染まる頃
「くぅでたってなんだ。お前、多分未来の言葉使ったろ?そのせいで最初はお前の言ってることちんぷんかんぷんだったぞ……なぁ?」
「あ、あぁ……」
せっかくあってんのによ!
なんて桂さんに同意を求めれば、呆けた顔での返事が返ってきている。
そんな桂さんに高杉さんは片眉をつらあげて、バン!と背中を叩いた。
「うっ!?」
ハッとしたように気を取り戻して、けれども変な声が出ている。
「なんてぇ顔してやがんだ、小五郎」
「い、いや、朔ちゃんの当たり具合に驚いてね……まいった、未来の娘さんの観察眼はこんなにすごいのか……」
い、いえ桂さん。
これは私がある程度歴史に関して知識があって、そこから考える事ができたからなんです……。
決して私の観察眼が良いわけでは……と思いつつ、少し嬉しい私は黙っておく。
そんな私を、ちらりと高杉さんは見てニヤリ笑った。
……こりゃバレましたな。
「それで、朔ちゃん。くぅでた、とはなんなんだい?」
「あ、ハイ」
そうだそうだ、私がうっかり使ってしまった外来語。
まだこの時代では使われていない言葉なんだ。
たしか前にもオリンピック、とか言って使っちゃってたなぁ……。
以後、気をつけなくちゃならないよね。