夕焼け色に染まる頃
「クーデターとは、ですね……んーと、武力等によって規定に反してに権力を奪ってしまうこと、ですかね。だから、高杉さん達は」
「そう!」
あ、また高杉さんに言葉をさえぎられた。
「そう、まさに俺らは"くぅでた"を起こそうとしている訳だ。なんせ、無理矢理長州の権力をいただいちまおうと考えてる」
「つまり、朔ちゃんの言ったことは当たり。完璧なまでに当たっているのさ」
高杉さん、石川さんと言葉が続いて。
何故か私の鼓動は早鐘のように鳴り出した。
それは、頭のおく深くではきっとわかっていることなんだと思う。
けれども私はきっと、高杉さんから直接言われないと認めない――……そんな気がする。
「戦いだ」
高杉さんが、一言。
少しの間が空いた。
「お前には、戦いなんぞ辛いだけだろう、きっとそうだ」
自分の顔が歪むのがわかった。
あぁ、私はきっと、こうして歴史の――……幕末の波に呑まれていく。
そんな気がしてならない。
「明日。明日、俺は挙兵をする。俺だけじゃない、ここにわざわざ集まってくれた石川と伊藤も加わって、だ」
"功山寺挙兵"。
あぁ、たしか高杉さんが起こした中にそんなのがあったなぁなんて思い出す。
明日なのか、なんてボンヤリ考えた。