夕焼け色に染まる頃
02
――……翌朝、この日は12月15日である。
確かに、私の頭の中ではこの日が功山寺挙兵だとあった。
やっぱりいろいろな不安は尽きぬまま、眠れぬ夜を過ごした私はそのまま朝を迎える。
あぁ、こんな気持ちで高杉さんについていって良いのかな。
「なぁ、朔」
そんな事をぐるぐると考えてしまう、静かな朝食。
つい手を止めていれば、ふいに高杉さんが声を掛けてきた。
「夜までに一つ頼み事があるんだがいいか?」
「へ、頼み事、ですか?私で出来る事であれば勿論……」
とても不意打ち願い出だったから、少し変な声がでた。
瞬きもパチパチと世話しなくなってしまっているのがわかる。
「結構大変だとは思うんだが、な……今、ここにはお前しか出来る奴はいない」
そしてチラリと桂さんを見る高杉さん。
なんとなく、言うことがわかった気がした。
「………なんで僕を見るのかな、晋作」
「ごほん」
あ、ごまかした。
「挙兵前に、隊士達にやる気を出させてやりてぇんだ。っとなりゃあ、やっぱ女の手作り料理だろ?握り飯を、人数分頼めねぇか」
あぁ、そんなことなら!と、承諾しようとしたのだけれども。
「じゃあ僕も作ろうか、握り飯」
桂さんが、しれっと爆弾発言をするものだから、私はお味噌汁を喉に詰まらせた。