夕焼け色に染まる頃
「同じ景色を見たい……同じ景色、と……。ふむ、これはこれは」
ひとりごちて呟く伊藤さんは、ふいに私の後ろに視線を移した。
別に私を見ているわけじゃないのに、反射的に私は体がピシッと固まってしまったのを感じる。
なにを見ているんだろう、私の後ろには広い広い庭しか続いていないのに。
「聞いたかい?まるで愛の告白のようだ」
私の体は以前として固まったまま。
聞いたかかい、だなんて、伊藤さんたら誰に話しかけているんだろう。
だって、伊藤さんと私は目すらあってないのに。
風か頬を撫でた。
一瞬、たった一瞬の静寂の後――……ぽん、と私の肩に何かがふれて私は気を取り戻した。
ガッチガチに固まっていた体がふにゃりと溶けて脱力。
そして膝がカクンッてなって――……、
私は高杉さんの腕の中におさまっていた。
「おみごと。調度良く朔君を支えてくれた」
「た、高杉さん……!?」
「ん、まぁな。こいつよく考えているようで単純だから次になにやるか大抵わからぁ。特に、すぐ膝の力抜けんのは何時もの事だからな」
こうしてささえとかにゃならんのよ、なんて言いながら腕に力を込める。
それを感じて、私は口元がひきつるのを感じた。