夕焼け色に染まる頃
ここ数週間、高杉さんの近くにいるのは私の心の落ち着く場所へと変わってきている。
もちろん、桂さんや石川さん、伊藤さんと話していても落ち着くのだけれども。
高杉さんと同じ景色を見ている、高杉さんの隣にいる。
それはとても、「私が高杉さんの近くにいる」と言うことを感じる事ができて安心するのだ。
「あぁ、さみぃなぁ……今日は冷える」
「はい、本当に」
「こんな日に挙兵たぁ、気が引けらぁ……とは言え、やめる気なんてさらさらないんだがよ」
「はい」
さぁっと風が頬を撫でた。
肌寒い。
「ついて行きますから」
「あぁ」
「高杉さんがどんな危ないところに突っ込んで、どんなに私について繰るなって言ったって、ついて行きますからね」
肩をすくめて。
高杉さんの真似をして、高杉さんを見ずに言えば、ポンと頭に何かが触れた。
そのせいで、反射的に高杉さんを見てしまう。
なのに高杉さんはまた私を見ていなくて。
ずるいなぁ、なんて思ってしまう。
だって、私を振り向かせる為に図って頭を撫でたのに――……図った当の本人である高杉さんは私を見ずしてそれをやってのける。
私は常に高杉さんを見ていないと、いけないんだ。