夕焼け色に染まる頃
つぅと、高杉さんの目が細められた。
そして、私の視線に気付いたのか気付かないのか、口角を上げればクスリと小さく笑う。
「お前の作る握り飯が楽しみだ」
「……腕によりをかけますね」
「あぁ。俺だけじゃなくて、組の奴ら全員期待してんだぜ。今や隊士共の士気を左右するのは朔の握り飯、ってなぁ」
くつくつと笑う高杉さんはとても楽しそうだ。
不意に。
そんな高杉さんの髪の毛が風に揺れて、そしてその上にかさりと小さな枯れ葉が乗った。
「そんな――……こと、ありませんよ。高杉さんだって、中心となって重大なお役目を追ってるんでしょう?」
つい、私は高杉さんの頭に手を伸ばす。
風に靡く高杉さんの髪を押さえるようにして、私はできるだけ優しく落ち葉を取った。
「……ん?」
そうすれば、高杉さんは軽く頭を振って髪を揺らす。
「木の葉が乗っていたんですよ。高杉さん、私、ひとつお願いがあって」
いいですか?っと首を傾げて見れば、どこか上の空な高杉さんと目があった。
どうかしたのかとじぃと見てみれば、ハッとしたように反らしてしまう。
そして口元を手で押さえて、さらりと何かを囁いたようだった。